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外来植物がカブトムシの活動リズムを変化させる

 投稿者:  投稿日:2021年 4月20日(火)04時14分44秒 103.140.113.228
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外来植物のシマトネリコに集まるカブトムシは、夜だけでなく昼間も活動を続けることが明らかになりました。利用する植物種と昆虫の活動リズムの関係を解明する上で注目すべきものです。

本研究は米国の生態学専門誌「Ecology」に掲載されました。 筆頭著者は小学6年生です。

外来植物がカブトムシの活動リズムを変化させる
https://research-er.jp/articles/view/98528

発表のポイント
シマトネリコという外来植物に集まるカブトムシは、夜だけでなく昼間も活動を続けることを明らかにした。
カブトムシは夜行性であるというこれまでの常識を覆す発見である。
小学生が自宅の庭木に来るカブトムシを毎日粘り強く調査し続けた成果である。

概要
埼玉県の小学 6 年生の柴田亮さんは、山口大学大学院創成科学研究科(理学部)の小島渉講師と共同で、シマトネリコに集まるカブトムシが、昼間も活動を続けることを発見しました。
柴田さんは 2 シーズンにわたり、早朝から深夜まで、自宅の庭のシマトネリコに来るカブトムシの個体数を数えました。また、162 個体に番号を付けて識別し、それぞれの個体が餌場に滞在した時間を調べました。その結果、多くのカブトムシが夜のうちにシマトネリコを訪れ、夜が明けてもそのままそこに留まって採餌や交尾などの活動を続けることが明らかになりました。クヌギなどの植物を利用する場合、カブトムシは完全な夜行性であることが知られていましたが、利用する植物種によって活動時間が変化することが本研究から示されました。
この成果は、米国の生態学専門誌 Ecology に掲載されました。

発表内容
カブトムシといえば夜行性の昆虫です。おもにクヌギの木の樹液場に日没後飛来し、深夜 0 時から 2 時頃に個体数はピークとなります。そして、夜が明ける 5 時頃にはほとんどの個体が樹液場から飛び去ります。

近年、シマトネリコという、台湾やフィリピンなどの東南アジア原産の植物が、庭木や街路樹として日本の各地に植えられるようになりました。シマトネリコはときに多くのカブトムシを惹きつけます。杉戸町立杉戸第三小学校の柴田亮さんは、庭のシマトネリコにやってくるカブトムシの数を 1 日につき 3 から 5 回、2019 年と 2020 年の夏に毎日数え続けました(図 1)。その結果、個体数は深夜 0 時頃にピークとなるものの、完全に明るくなっても多くの個体がシマトネリコで採餌や交尾を行うことが分かりました。個体数が最も減少する正午ごろでも、ピーク時の半数程度がなお餌場で観察されました。

2020 年には、それぞれの個体の詳細な活動パターンを把握するため、シマトネリコに飛来した個体に油性マジックで固有の印をつけて放しました(図 2)。162 個体の追跡調査から、多くの個体は夜間にシマトネリコに飛来し、日中もそのまま同じ木に留まり続けることが分かりました。なかには 24 時間以上同じ木で観察される個体もいました。これらの調査から、シマトネリコにおけるカブトムシの活動パターンは、クヌギでみられるものと全く異なることが分かりました。また、興味深いことに、もともとシマトネリコを主に利用する台湾のカブトムシは、夜間に活動することが知られています。つまり、日本のカブトムシでは、普段利用しないシマトネリコに出会うことで、本来の活動パターンが変化したと考えられます。今回の発見は、利用する植物種と昆虫の活動リズムの関係を解明する上でも注目すべきものです。

なぜシマトネリコに来るカブトムシは日中まで活動を続けるのでしょうか?この理由は今回の研究からは分かりませんが、たとえばシマトネリコの樹液はクヌギの樹液よりも栄養価が低かったり得られる量が少なかったりするため、“満腹”になるまで時間がかかるのかもしれません。あるいは、シマトネリコの樹液に、カブトムシをその場に留まらせるような成分が含まれているかもしれません。

柴田さんの調査では、カラス類に食べられたカブトムシの死体も多く見つかりました。日中に活動することで昼行性の天敵から狙われやすくなるというリスクも高まるかもしれません。人が持ち込んだシマトネリコという外来植物がカブトムシの生態にどのように影響を与えるのか、今後も注視していく必要があるでしょう。

掲載誌情報
掲載誌:Ecology
タイトル:An introduced host plant alters circadian activity patterns of a rhinoceros beetle
(外来植物がカブトムシの概日活動パターンを変化させる)
著者:柴田 亮(杉戸町立杉戸第三小学校)、小島 渉(山口大学)
DOI:10.1002/ecy.3366
Link:https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecy.3366


外来植物がカブトムシの活動リズムを変化させる
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/library/user_data/upload/Image/news/2021/21041604.pdf
 
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